「起業」と聞いてパッと思い浮かぶことは何でしょう?
難しそう? はたまた一攫千金のチャンス? でも特別な人しかできないこと?
結構前になりますが、ホリ〇〇ンとか楽〇の社長あたりがとんでもない額の利益をあげているとかで、「IT起業家」として時代の寵児扱いをされていた頃にいち社会人デビューを飾った私。
そのせいか、「起業」っていうとどうしても「事業資金を銀行から借りて」、「巨額のお金と派手なプロジェクトを動かして」、「当たりは大きいけどリスクも巨大」というイメージが付きまとっていました。
なので、個人的には
という感じ。ええ、怠け者です。
申し遅れましたが、私、ガンバリーニ杏子と申します。東京での会社員生活にグッバイし、2018年から山形県酒田市に移住、現在はフリーランスとして仕事をしています。
会社に雇われない身分になった今、これから先仕事をしていくにあたり、選択肢の一つに「自分のビジネスを興す」ことがあるのはわかっています。わかってはいますが……!
しかし。そんな私の意識を覆す「起業」が存在したのです。
それが、小さな起業「ナリワイプロジェクト」。
借金せずにビジネスを興し、目指すは月3万円の利益。こう聞くと、「起業」という言葉の持つ得体のしれない雰囲気がだいぶ減ったと思いません? ちなみに私は減りました。コンセプトを聞いただけで、「あれ、何か私にもできるかも!?」って。←影響されやすい
とはいえ、物事には光の当たらぬ裏側があることも。
「借金しない小さな起業」、「月3万の利益」と謳う影には、実は何かとんでもないワナが潜んでるんじゃ……? と思わずにいられない私。その実態を知るべく、鶴岡ナリワイプロジェクトが主催する「ナリワイ起業講座報告会&2019春の説明会」に潜入してきました。
ナリワイ起業講座報告会に参加しました
「ナリワイ起業講座報告会&2019春の説明会」が開かれたのは、2019年3月9日(土)。鶴岡市は山王通り商店街にある「旧新穂醤油屋」が開催場所。
ところでさっきから「ナリワイ」ってサラっと書いてるけれど、ナリワイとは
「好き・得意」で身近な困りごとを解決する”小さなソーシャルビジネス=ナリワイ”
……のこと。まあ、このレポートを読んでくださっている方はとっくのとうにご存知ですよね。だってこれ、鶴岡ナリワイプロジェクトのサイトに載ってるんだもん!
会場は、風情溢れる古民家。のれんも残っています。
講座の会場は、畳敷きの部屋。結構広い。そこに20人以上の人がぎっしりで、かなりのニギワイ。ナリワイならぬニギワイ講座だ。
写真だとよくわからないかもしれないですが、かなり広いお座敷なんです。
参加者向けに用意されていたお茶とコーヒー。
飲みながら聞いてくださいね~ということで、私も一杯イタダキマス。
ハンドドリップで入れられたというコーヒーを飲みながら目を閉じると、聞こえてくるのは……消防車のサイレン。※会場の隅で遊ぶ子供たちのおもちゃの音
大人も子供も混ざり、のびのびとした雰囲気の中で講座が始まりました。
まずは講座の開始に先立ち、鶴岡ナリワイプロジェクト代表の井東敬子さんから、今日の流れについての説明があったのですが……その中で驚いたことが。
会場となっているこの建物、個人宅なんだって!!( ゚Д゚) 今日のナリワイ講座で発表する方の1人の、実際のお住まいなんだとか。古民家に住んでるだなんて……とんでもなくロマンチック!!
古民家いいなァ(*’▽’)……と、ぽわわんとしているうちに、「ナリワイ起業講座報告会」が始まりました。発表するのは、総勢6名。皆さん「ナリワイ起業講座 冬」の卒業生。起業講座を修了し、その報告をする方たちだから、さぞ真面目で重々しい雰囲気なのだろうと思ったら、全然そんなことなかった! というか、皆さん個性強すぎィ!( ゚Д゚) もちろんいい意味で!
三川町をブランディング!「ものかきや」の伊藤秀和さん
まずお一人目。三川町に在住の伊藤秀和さん。
神奈川県出身で、地域おこし隊として三川町に移住。ナリワイ起業講座に参加した理由は、「地域おこし協力隊以外の名刺を持ちたい」、そして「田んぼ以外ない」、「何もないのが魅力」と町の人自ら言ってしまうという三川町をブランディングしたいからとのこと。
何しろ、伊藤さん調べによれば、「三川町」をネットやSNSで検索すると、まあ情報が出てこない。インスタグラムでも見つからない。やっとあったと思っても、何故かディスられてることもあるという理不尽さ。これじゃいかん!と立ちあがったそう。
そんな伊藤さんのナリワイは「ものかきや」。
ものごとのストーリーを伝えてその価値をあげるべく、自身のブログ「ミカワログ」での情報発信や、Webプロモーション・メディア運営・イベント事業などを行っているそう。特に、2018年4月に開設したブログは、すでに月間1万PVを達成したと……す、すごっ( ゚Д゚)
月間1万PVって、それかなりすごいからね! そりゃあ、流行のモノとか芸能人のゴシップとか、読みたい人の母数がちょう多い話題ならまだしも、主に三川町の情報発信という壮絶にニッチな分野で月間1万PVって……この御仁、タダモノではない( ゚Д゚)
また、ナリワイ起業講座の初めに決めた目標の中に、「春には自分のラジオ番組を持つ」があった伊藤さん。
なんと達成済らしい( ゚Д゚) エフエム山形の子育て応援ラジオ「SMILE BOX」の子育てパパリポーターとして、月1回出演しているらしい。
発表の最後に、伊藤さんが何やら紙を配布。「広告スポンサー募集」とな。ふむふむ。
ちなみに価格の3000円はトライアルの価格で、今後変動するかもしれないとのことなので、詳しいことが知りたい方はブログで伊藤さんに直接相談だ!(紙がクシャッとしててごめんなさい……)
伊藤秀和さんブログ:「家族4人 山形暮らし、はじめました」
https://www.itohidekazu.com/
誰かの得意を報酬に!「ナリワイマネジメント研究会」田中恭子さん
お二人目は、「ナリワイマネジメント研究会」代表の田中恭子さん。
福岡出身、東京で就職し、鶴岡市出身の旦那様と結婚。2001年から鶴岡在住。そんな田中さんが発表の1枚目に掲げた文章は「自分の名刺を持ちたい」。
ほう……?( ゚Д゚)
というのも、これまでの人生を振り返ってみると、実家のカメラ屋、夫の音楽関係のイベント、選挙、PTA、サークル活動、印刷物制作やビデオ編集、PCのセッティング、はたまた通った教室で言えばパン教室にかな書道、ジョサネ体操にジムトレーニングと、列挙するだけでもかなりの数があるものの……周りの人のサポートであって、自分の仕事や名刺にかけるものではなかったため、プレゼン冒頭の「自分の名刺を持ちたい」という想いに繋がったとのこと。個人的には、これだけ色々挑戦してるのってすごいと思うけれど……!( ゚Д゚)
そんな時、進学のため上京というチャレンジをする娘さんに触発され、ナリワイ起業講座の参加ボタンをポチッ。
そして、自分のやりたいこと、名刺に書けることを模索していたものの……はたと思い至ったのは、「これまで他の人を助け、その人の喜ぶ顔を見て満足した自分」と、「誰かの“困った”を解決してあげたいという考え」。
そこから生まれたのが、「ナリワイに挑戦する誰か(※ナリワイストと呼ぶ)が苦手とする分野をサポート」するという、「ナリワイマネジメント研究会」。どどーんと、名刺の肩書が誕生した瞬間!
ご実家のカメラ店の写真。田中さんのマネジメント人生は、ここから始まったのかもしれません……
しかしそれにとどまらず、「自分のナリワイの報酬とは何だろう」と更に突き詰めて、出た答えが「他のナリワイストの得意なことを報酬としてもらう」こと。自分の得意と他の人の得意を掛け合わせて補完して良い結果を導こうという、それまさにマネジメント!
と思ってしまったのですが、研究会を立ち上げただけで終わらないのが凄いところ。何と、すでにもう「ナリワイマネジメント研究会」主催のイベントを実施済なんだとか!
え……、「ナリワイ起業講座 2018冬」って、ついこの前の話よね……?( ゚Д゚)
そのイベントとは、服飾系ナリワイスト・鈴木順子さんによる「似合う丈診断」。世の中に溢れる服の中から、自分に似合う丈のものをプロのスタイリストにビシィッと診断してもらうというもので、この日に田中さんが着ていた服も、鈴木順子さんに診断してもらったいっぴんとのこと……な、なにそれ超うけてみたい(*’▽’)
まだ2人目の発表者ではありますが、起業講座に参加した人は「講座開始時に書いた目標」をばしーっと達成してて、本当にすごい……有言実行感はんぱないー!( ゚Д゚)
心地よい暮らしを第一に。「庄内ピクルスプロジェクト」こだまえみこさん
この日の会場の一角に、ピクルスの瓶が飾られていたのですが、その謎が解けるタイミングがやってきました。それが、3人目の発表者であるこだまえみこさんによるプレゼン。
鶴岡市在住で、標高270mくらいのところにある宝谷地区の地域おこし協力隊として、蕎麦屋の手伝いや在来野菜の存続計画にも関わっているというこだまさん。
ナリワイ起業講座に参加した理由は、仲間づくりとナリワイづくり。そして何を自分の「ナリワイ」とするかと考えた時浮かんだのが、自分のものさしを大切に、大事にしたいものを大事にする「心地よい暮らし」。そして、自身が大事にしたいのは、「心と体が喜ぶ食事をしたい」ことだったんだそう。
何か……思わずぐっと来てしまう私。東京で働いていた時は仕事が忙しくて自分のことは二の次、食べ物も「お腹が減ったら食べる」という感じで出来合いのものばかりになって、「自分のための暮らし」がすぽーんとどこかに抜けていた思い出が蘇ってきた。でもやっぱり、自分が心地よくいられる暮らしって、大事よね……(;´・ω・)
自分のやりたいこと、大事にしたい「心地よい暮らし」について突き詰めて考えたこだまさんが立ち上げたのが、庄内ならではの在来野菜を、庄内の米酢・米飴・塩を使って作った美味しいピクルスをオシャレな瓶詰にするという「庄内ピクルスプロジェクト」。
……って、
遡ること「ナリワイ起業講座 2018冬」。受講を始めたはいいものの、とはいえ何をしようかと考えていた時、ナリワイ講座の男性陣から「在来野菜を使った漬物づくりとかいいんじゃない?」という意見が出て、あれよあれよという間にアイディアが集まりこだまさん主宰でプロジェクト化。それだけでなく、こだまさんが作る側に専念する代わりに、これまたあれよあれよという間に企画プレゼン・販売・広報担当が講座仲間内で決まっていったという、ナリワイ講座参加時の目標である「仲間づくり」が形となってできたプロジェクトといっても過言ではありません。
この「庄内ピクルスプロジェクト」。現在は商品化に向けて着々と準備をすすめていて、既に世の中で販売されているピクルスの素材を集めてデザインを考えたりしている段階だそうで、会場内に飾られていたピクルスたちはその参考資料。
展示されたピクルスを見た瞬間、参考資料とは露ほども知らなかったため、
とか思った私を許してください。ちょっとお腹が空いていただけなんです。
商品化が待ち遠しい「庄内ピクルスプロジェクト」。発売されたら真っ先に買う所存!(*’▽’)
※4人目以降の発表と2019春の説明会のレポートは、「ナリワイ起業講座報告会&2019春の説明会 後編」をご覧ください。
(ガンバリーニ杏子)
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