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2018鶴岡帰省者忘年会 ~今よりもう少し自分の世界を広げる

鶴岡アンバサダー本多裕子さんによる、「鶴岡帰省者忘年会」のレポートです。(東京在住、酒田出身)


”帰省者”忘年会だけど移住者が多い!

2018年12月29日、鶴岡市先端研究産業支援センター・レクチャーホールに70名を越える参加者が集まりました。司会のまどかさんの挨拶からスタート。


初めましての人が多いからか、少し様子見の固い雰囲気。
ファシリテーター井東敬子さんの“ほぐしの時間”。
最初の質問は、庄内弁で「今日はどっから来たな?」(今日はどちらからいらっしゃいましたか?)
この質問で、帰省者は1割位しかいないことが判明。「帰省者向けイベントなのに、帰省者少ないね~」と、笑いが。


次の質問、「どごの生まれだな?」(どちらの出身ですか)
今は鶴岡市在住だけど、ほとんどが最近UIターンしてきた方だということがわかりました。中には、2週間前にUターンしてきた方も!
と言う訳で、みんなが参加者のだいたいの構成を共有でき、「こういう人だぢが多いのが~」と、それぞれ心の中で思いながら着席。会場内は和やかな雰囲気に。

 

3名のプレゼンターのお話

“火星に移住するために就農したい”と市役所の人を困惑させた佐藤涼子さん

2016年パートナーのふるさと鶴岡市加茂地区へIターン。本当に宇宙が大好きで、宇宙のことだけを考えたい佐藤さん。JAXA筑波宇宙センターで勤務していました。宇宙愛は半端なく、いい意味でかなりぶっ飛んでいた。やっぱり、宇宙を愛する人はスケールが違うと思わせるエピソード満載。
その一つが、“火星に移住したら自給自足するしかないから、先ずは地球上で農業を習得したい。と移住早々、鶴岡市役所に相談。でも残念ながら話が通じなかった”と話す佐藤さんに心を掴まれた。
また、中学生への講演で好評の地球から138億光年への動画。これには泣けるほど感動した。日常生活で、宇宙の広さを実感することなどないのでなおさらだった。この広大な宇宙の中の地球の中の日本にいる私の悩みなんて、本当に本当にちっぽけなものだと思った。かつて中学生の佐藤さんも感じたと同じように。
会場全体が、この動画を食い入るように見ていた。「宇宙の本物を目指す」という佐藤さん。やりたいこと、叶えたいことのために日々行動している姿は、とても輝いていた。

 

好きこそものの上手なれを体現「鶴岡ふうどガイド」山口美和さん

自称「くいしんぼう」、食べることが大好きな山口さん。その好きなことで誰かの役に立てるかもしれないと一念発起し、野菜ソムリエなど数々の食に関する資格を取りまくった。「鶴岡ふうどガイド講座」の存在を知り、天職だと思ったそうだ。それまで、鶴岡の魅力に気付いていなかったけれど、今では鶴岡の虜になっていると、本当に嬉しそうに話す山口さんが印象的だった。
日本で唯一のユネスコ食文化創造都市に認定された鶴岡市では、観るだけでなく、食文化体験に力を入れている。山口さんは「ふうどガイド」として、旅行会社に企画を提案し、ガイドも行う。外国人には「鶴岡のお母さんと思ってね」と自己紹介している。
いわゆる「普通の主婦」だった山口さん。自分の行動により、なりたい自分に近づいていることがとても輝いて見え、笑顔が素敵だった。

大鳥・繁岡集落の自治会長でもある、マタギ見習い田口比呂貴さん

なぜか胃酸が多いという話から始まった。同年代のマタギ見習い、しかもここでしか聞けない話に、会場みな釘付け。
田口さんは、子ども向けのイベントでは、イワナのさばき方、ウサギの巻き狩りなども教えたりする。また、秋のアナグマは美味しく、ウサギも鴨も「うんまい」。イノシシや、ツキノワグマが里にも出るようになったことなど、淡々と話していたが、どれも初めて聞く話ばかりだった。
5年前に地域おこし協力隊として鶴岡市大鳥にIターン移住した田口さん。「山には生きていくために必要なものは全てそろっているのに、若者たちはなぜ山から下りていくのか」を知りたかった。が協力隊応募の理由。
今、山には20~30代はほとんどいない。平均年齢は上がり、人口は減っていて、このままでは山から人がいなくなってしまう、という現実が迫っている。
大鳥には、地図に載っていない山や沢の名前も多くあり、それぞれに意味がある。
田口さんは年配者から聞き、記録。民俗調査や執筆活動、webメディアでのサイト「大鳥てんご」の運営も行っている。
なかでも印象的だったのは、山で繰り広げられているのは、「恩売りのコミュニティ」ということ。普段から近くにいる人に恩を売りあい、何かあったら助ける、助けてもらえる。それが「生きる」ということの本質のような気がした。

 

振り幅広すぎて、かなり「もしぇ」鶴岡

138億光年からみた地球、あたりまえすぎて気づかなかった食文化のすばらしさ、山で狩りをしながら生きること。3人のプレゼンターそれぞれの伝えたい想いがあふれていたあっという間の2時間弱。

プレゼンが終わるたびに、参加者同士で話す時間があったので、終始とても和やかな雰囲気だった。ずっと話を聞いているだけよりも、アウトプットすることで、それぞれの人の話を聞く集中力を持続させる効果もあったように思った。

交流会は、話題の「スイデンテラス」

ほとんどの方が交流会へ参加。
会場は、2018夏オープンの「ショウナイホテル スイデンテラス」内のレストラン「ファーマーズ・ダイニング・イロドリ」。地産地消と素材の良さにとことんこだわっているので、カレーもサラダもデザートもすべてが美味しい。

食事のあとは、名刺交換をしたり、話していなかった人と話してみたり、思い思いの交流を楽しむ空間に。新しい出会いや仲間を求めて参加している人が多いので、比較的ゆるい雰囲気だけど、活発な交流という印象をもった。参加している人は、「今」も楽しいけれど、もう少し自分の人生に広がりを持たせたいと思っていたり、そうなったらいいなと思っている人が多いように感じた。

 

帰省者は少なかったが、最近鶴岡にUIターンしてきた人がほとんど。みんな前向きで、寛容。ひとりで参加しても全然浮いたりしないので大丈夫な雰囲気。

今回迷ってやめた人、残念ながら参加できなかった人は、きっと今年夏にも帰省者納涼会があるはずなので、ためらわずに参加してみることをおススメする。思いもよらない出会いがあったり、いきなり人脈が広がったり、懐かしい人に出会えたりすることもあるかも。いつもと違う行動によりガラリと変わったり、ちょっぴり嬉しいことがあったり、思いがけないことを掴めたりする。あなたが知っている鶴岡とは違う顔の鶴岡を発見したりするきっかけになるかもしれない。
(ライター 本多裕子)


(プレゼンターと事務局のみなさん)

主催:鶴岡市
企画運営:鶴岡ナリワイプロジェクト

 


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