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<ナリワイインタビュー>no.6 稲田瑛乃さん前編

ナリワイ女性インタビュー第6回目は、このナリワイプロジェクト発足当時から事務局として携わり、現在はいくつもの仕事を組み合わせて暮らしている稲田瑛乃さんにお話しを伺いました。前篇ではナリワイに辿りつくまでの話を紹介します。

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兵庫県神戸市出身で森林のことを学びたかった瑛乃さん、自分の行ったことのない県に行ってみようと山形大学農学部に進学しました。研究室で焼畑など山の暮らしを体験したり、大学の演習林を会場にした「森の学校」という子どもの自然体験プログラムなどに関わるうちに、この土地での生活の魅力を強く感じるようになりました。その後、大学院に進学しましたが、2年目に入るときに、もっと地域の魅力や大学でやっていることを地域の人たちに伝えたいと思うようになりました。

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鶴岡の自然がとても好きで、それをもっといろいろな人と一緒に、楽しいことを共感できるようなやり方はないかなと考えていたところ、「自然学校指導者養成講座」を知り、自分のやりたい庄内の魅力を伝える人へ近づけるかもしれないと思い、大学院2年目を休学し、北海道の黒松内(ブナ北限のまち)にある「黒松内ぶなの森自然学校」で8か月間、子どもたちのキャンプの指導員や大人向けのツアーガイドの実践、地域の魅力掘り起こしや発信などの実際の仕事にスタッフとして関わりました。その後2か月間、東京で自然とのふれあい方、自然学校の歴史やプログラム作りを学んだ瑛乃さんは、東京の暮らしは面白いけれど、ずっと暮らすには忙しい街だと思い、講座を終了後、再び自然学校のスタッフとして2か月間黒松内で生活しました。

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北海道の雄大な自然も好きだった瑛乃さんでしたが、4年間住んだ庄内での暮らしの中で、特に山と人の暮らしの近いところが気に入り、やはり自分は庄内に戻りたいと強く思い、4月から大学院に戻り、修士論文を「ナラ枯れ」と「土砂の流出」に関する研究にまとめて大学院を修了しました。

その後、特別緊急雇用で赤川漁協同組合に就職。赤川の魅力発信プロジェクトとして、普段やっている管理的な仕事だけでなく、漁協だからできる情報発信や魅力を伝える仕事をしました。地元の魚好きのおじさんたちと庄内空港で川の水族館を開催したり、昔赤川流域でもよく食べられていた八つ目ウナギやモクズガニを食べるイベントを行ったり、積極的に活動を外部に紹介する業務に関わりました。

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赤川漁協同組合での雇用期間が終了したその後、湯田川温泉の旅館で3ヵ月ほど働きました。実はこの3ヶ月間は内容が濃かったと瑛乃さんは振返ります。県外から来たお客様に対する関わり方として、自然学校や、赤川漁協組合で実践したことやこれまでストックしてきた庄内の魅力を活かせる場になっていたと感じたそうです。

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ナリワイづくりの考え方との出会い

瑛乃さんは、2012年7月から2015年3月まで鶴岡食文化創造都市推進協議会で立ち上げた鶴岡食文化産業創造センターに勤めました。ここで「ナリワイ」という考えに出会ったと振り返ります。もともと一般の大企業に勤めるより、地域に目を向けながら、自分のできるスキルを活かしてそれを仕事に活かしていきたいと思っていたので、鶴岡食文化産業創造センターでの仕事は、自分にとてもフィットしていると思ったそうです。事務局を務めながら、自分と同じような気持ちでいる人がこんなにもいるということや、この地域にはとても大きな可能性があると実感したといいます。

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一年目、実は「ナリワイ」という名前もなく、「食のダイアログカフェ」と言う名で地域の食に関して、皆がどう思っているのか意見交換をしようという会を開きました。最初は仕事をというよりは、仕事になるための基盤づくりで、いろいろな業種の人たちが、地域の問題を実際どうやっていきたいのかを検討したり、どんな未来を想像しているのかなど、本音で話し合う会になったそうです。

二年目は、「月3万円ビジネス」に着目し、鶴岡食文化産業創造センターで、月3万円ビジネスの発明者である藤村靖之先生を招き、講演会やワークショップを行いました。藤村先生の講演をききに、県外からも受講生が切るほど大変盛り上がり、「鶴岡が月3万円ビジネスをするにはもってこいの場所だね」という意見はでましたが、なかなか自分でやるぞというところまでいかず、参加者も瑛乃さん自身も、「藤村先生すごい!リスペクト!でも何ができるかな?」という感じだったといいいます。

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最後の三年目は、月3万円の言葉のインパクトにとらわれず、それぞれの得意なことと地域にとっていいことを組み合わせた仕事を考えようということで、「ナリワイづくり工房」でやる気のある人たちの実践の場を設け、参加者を集い月一回進捗を話し合ったり、情報交換をしながら、参加者が互いに伸ばしあうような取り組みを目指し進めていきました。瑛乃さん自身も、参加者の工夫を参考にしながら、自分ではどんなふうにできるだろう、また足りない所で自分がサポートできることを実践したりしました。

鶴岡食文化産業創造センターにいた3年間は、講座やイベントの企画が多くの方に関わることができ楽しかったと同時に「ナリワイづくり工房」で色々な方と実際に関わることで、自分の仕事のイメージを作り上げることができたと瑛乃さんは実感できた、といいます。

後編へつづく


ナリワイ女性インタビュー№6 稲田瑛乃さん

兵庫県神戸市出身 29歳 シェアハウスで3~4人と同居
仕事:鶴岡ナリワイプロジェクト事務局、So-ten nen(大江町)、工房げるぐと(クリエーター)、そのほかライターやアシスタントなどを兼業


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