Article

<ナリワイインタビュー>no.15 風間慶子さん後編

ナリワイインタビュー第15回目は、2014年に「ヒーリングサロンrikka」を立ち上げた風間慶子さん後編です。(前編はこちら)

ナリワイづくりの中で向き合った自身の想い

鶴岡ナリワイプロジェクトに参加している諏訪部夕子さんが、ボディケアの仕事をしながら、「ルナリズム」を立ち上げ、布ナプキンを販売している姿を見て、サロンの仕事をしながら、別のナリワイを作っていきたいと思ってナリワイプロジェクトに参加したと慶子さん。

しかし、ナリワイプロジェクトに参加して間もなく「ナリワイセラピスト部」が立ち上がったことにより、慶子さんは自分のサロンの活動と向き合うことになります。

「セラピスト部で、高齢者施設でケアをやってみようとなりましたが、私は自分のサロンでの仕事もちゃんとできているのかなと悩むようになりました。ボディケアはそれぞれ学んできたことが違ったりもして、私は子育て中のお母さんのお手伝いをしたい気持ちが強くなっていきました」kazama2

子育て中のお母さんむけヨガ

子育てママの力になりたいと始めたカフェでのケア

子育て中のお母さんをケアしたいと考えた慶子さんはナリワイプロジェクトのミーティングで「子育て中のママのケアやマッサージがしたくてサロンを開業した。子ども連れで来てくれた人もいたけれど、赤ちゃんが気になってマッサージが結局受けられなかったり、途中で中断しなければならなかったりすることがあってどうしたらいいか悩んでいる」と相談しました。

その時に、「二人でケアを行えば、一人が子どもの相手をできるから二人一組でやってみたらどうか」という提案があり、同じナリワイセラピスト部の田林由美さんと子育てママ向けのボディケアを行いました。

「30分と60分のマッセージを二コースを用意して、空いているセラピストが子どもの相手をし、お母さんが一人で受けてもらうという形でボディケアを提供しました。その時に、カフェでやるのもいいのでは、という提案を頂き、酒田市のカフェみつばちさん・鶴岡市三瀬地区のCafe meriさんで子育て中のお母さん向けに手や頭のトリートメントをさせてもらうようになりました。二人一組でやってみたのはすごく良くて、来てくれた人も満足してくれました。それで土日もやってみようとなったけど、土日は全く人が集まりませんでした。旦那さんが休みの土日は来やすいかなと思いましたが、お客さんは専業主婦の方が多くて『自分は仕事をしていないから、旦那さんが稼いできたお金でトリートメントしに行くなんてって思ってしまう』と言われました」と慶子さん。

慶子さんは、子育ては給料は出ないけれど、とても重労働で大変なのだから「自分を癒しに行ってもいいんだ」と声を大にして言いたいと感じるようになりました。そういうことを言っていくのが自分の役割なのではないかと感じたそうです。

kazama3
ハンドトリートメントをする慶子さん

原動力となった子育て中の経験

「私が、長男の子育てでいっぱいいっぱいだった時、保育園の先生に子育ての悩みを相談したら『もっと余裕を持って育児してみたらどうですか』」と連絡帳に書いてあったんです。その先生はとてもいい先生だったけれど、その時『余裕が持てないから悩んでるのに』とやるせない気持ちになりました。『一般的に言われている正しい子育て』があって、でもそれを実際にはできなくて、ということで悩んでいる人は沢山いると感じています。三男の時は、三番目なのに授乳が上手くできなくて、三番目だから助産師さんにも気にかけて貰えず泣いていた時があったのですが、その時、子どもが4人いる保健師さんからマッサージとアドバイスをしてもらって上手くいくようになって、子育てには経験も重要なのだと強く感じました。私は3人の息子の子育て中ですが、同じ子育て中のお母さん達の力になりたいし、頑張りすぎないでと伝えられるようになりたいんです」と慶子さんは、これまでの6年間の子育てを振り返りました。
kazama4

ナリワイプロジェクトの1年間を終えて新たな道へ

2016年、3月でナリワイプロジェクトでの活動を終えた慶子さんは、一旦区切りをつけようと所属などを全てやめ、自分のサロンの活動に専念することにしました。

「これから、どう活動していこうか考えていた時、ベビーマッサージ・お母さん向けヨガをやっている人から声をかけてもらい一緒に活動することになりました。ナリワイプロジェクトを終えて分かってきたのは私は『産後のお母さんのケア』と『地に足のついたスピリチュアル』の二本柱なのだと気がつきました」と慶子さん。占いや目に見えない世界のことは色々あって、落ち込んでいる時は何かに頼りたくなるけれど、結局決めるのは自分。そのお手伝いとしてヒーリングなどのスピリチュアルがあるのだと感じたそうです。

現在、慶子さんは酒田市にあるミュージック・ギャラリー「グリーンベイ」(喫茶店)で月に1度程度、子育て中の方向けボディケアを行っている他、三川町の自宅サロンでの活動も行なっています。常に新しいことを取り入れようと熱心に学ばれている慶子さんは「新しいヒーリングを勉強してくるのでますます楽しみ!」と語りました。

ナリワイをやってみて良かったこと

今まで、目指す所に辿り着く方法は一つしかないって思っていましたが、ナリワイプロジェクトと出会って、色々な人たちの話が聞けて色んな方向があるんだということに気がつきました。困っていた時に、ミーティングで「こうすればいいじゃん」って言ってもらえて、職種の違ういろんな人の価値観に触れることができた。サロンを開いてからはいつも一人なので、色んな意見や見方をしてもらえてありがたかったです。

kazama5
ナリワイプロジェクト活動報告会で発表をする慶子さん

ナリワイしてみたい人へのメッセージ

やりたいことがちょっとでもある人は、動くきっかけになるのでナリワイに踏み出して見てください。

今後の展望

産後のケアだけでなく、これからお母さんになる人にも何かできるようになればと考えていて、最近は骨盤の勉強をしています。子どもが生まれて育児が始まると子どもが優先になるけれど、お母さんもお母さんのケアをしていいんだよと、そういう話ができるようになりたいです。一人目の子育ては神経質になったし、大変だったけれど二人目は子育てに余裕が出てきて、泣いてもそんなに驚かなくなったし、「長男の時、こうだったから次男も今はまだできないけど、そのうちできるだろう」と思えるようになりました。

インタビューを終えて

慶子さんのインタビューを通して、私は子どもを育てたことはありませんが慶子さんの言う「『正しい子育て』が実際にはできないということで悩んでいるお母さんは沢山いる」という話は本当にその通りだなと感じました。同級生や後輩で「自分の子育てはこれでいいのか」「赤ちゃんのこと良く分からなくて子育てがしんどい」という話を聞くことも多く、産後の親がどうしたら孤独にならずにすむのか、どうしたら子育ての負担が軽減するのか、それは地域や社会で考えていかなればならない課題で、慶子さんのような子育て中の方がそれを投げかけていくこと、アクションを起こしていくことは未来子どもを生むかもしれない自分のような人間にとっても大切なことだと感じました。 (ライター:はしもと蕗)


風間慶子 鶴岡市出身 35歳

ご主人、ご主人のお母様、6歳、3歳、1歳の男児の6人暮らし
ヒーリングサロンrikka」経営


[contact-form-7 404 "Not Found"]