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<ナリワイ女性インタビュー> 番外編 湯田川温泉ますや旅館 女将 忠鉢泰子さん 後編

鶴岡ナリワイプロジェクト卒業生、諏訪部夕子さんと一緒に「マイフレンド」を開発した湯田川温泉「ますや旅館」の女将 忠鉢泰子さんのナリワイインタビュー、後編です。(前編はこちら)

ニーズを見据えた本格的な商品開発 

そんな泰子さんは鶴岡ナリワイプロジェクトの中間報告会で諏訪部さんと出会い、失禁パッド 作りを始めます。

「2016年3月、夕子さんと打ち合わせをしてまず自分自身で何枚か縫ってみて、水を垂らして 実験しました。以前から夕子さんと失禁パッド製作に取り組んでいた『ハンドメイドアクセ サリーneneco』さんと3人で相談し、防水布を試したり、吸収剤を探してきたりしました」と泰子さん。4・5回作り変え、原価計算し試行錯誤の結果、今年6月頃に製品が完成しました。

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「常に何かしていたい性分なので、作り始めると寝ないで作りました。もう少し、もう少しと思っ ているうちに朝になってしまうのです。大変だということは全く感じず、実用的な完成品を目指し て作り続けました。見た目が良くても、水が漏れれば意味がない。実際に水を入れてみて、大丈 夫、これでいこうとなった時の達成感が嬉しく、楽しかったです」と泰子さん。 最初、おくるみの会の方々に、「失禁パッドを作りたい」と話した時は、みんな「そんなもの を作るのか」と笑いましたが、「高齢化社会で必要なものだから、できる人は声かけて欲しい」 と話した所、手を上げてくれた人がいて、その人にパッドは縫ってもらっているそうです。ちょっ と高くてもこういうものがあればしばらく使えて、買いに行く手間がいらない。洗濯物として干す のにも恥ずかしくない。そういうものが作れたと思っていますと泰子さんは自信をのぞかせまし た。

商品名「マイフレンド」

私自身が、失禁パッドとか尿漏れパッドっていう名前のものを買いたくはないのでどうしたらい いかと考えていました。何かいい名前がないかなと考えていた時「私の友達」はどうだろうと思っ たんです。「マイフレンド二つ下さい」ってちょっと格好良いんじゃないかと。周りを気にしない で買える見た目、名前にはこだわりました。6月から諏訪部さんに販売してもらっています。イン ターネットでの販売も考えていますが、まずは湯田川地区周辺で困っている方々に「あそこに行 けば買える」と口コミで届けばいいなと思っています。

DSC_0106 おくるみ会の方の手によって完成したマイフレンド

今後の展望 

湯田川地区でも失禁パッドを必要としている人がいるのを耳にします。店頭で販売するのは難しいので、「マイフレンド1枚あるといいよ」ということを広めていけば需要はあると感じていま す。一気に大量生産は難しいですが、少しずつ作って売っていければと思っていますし、尿漏れパッ ドでなくても縫い物のお話があれば色々作ってみたいと思っています。何かを作っている時、夢 中になって作っていて出来上がった時のやったぞという達成感が私自身の感動につながっている のだと感じています。

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チャレンジしたい人へのメッセージ

私は、自分がやれるかやれないかではなく「やってみよう」が先で、あまり深く考えずに何でも挑戦しています。子どもの頃、人形の服を作って遊んでいた、そういう記憶が女将になってから蘇っ てきて時間が出来たら縫い物をしたり工夫したりしているので、今も小さい時にしていたことの 延長線上にいるのだと感じることがあります。子どものように何にでも興味を持って、あるいは 自分の子どもの頃したこと、楽しかったことを思い出して、そういうことに挑戦していけば案外す んなりできるかもしれませんよ。

夕子さんからのコメント

女将さんが作りたいと言ってくれたことをきっかけに、女性用の下着にパッドを合わせて水を垂 らしてみたり、利用する人の使用感を想像しながら3人で話し合って開発していくプロセスがとて も楽しかった。日常では話すことのない下着の話や尿漏れの話をしながら本気で商品開発を考え て色々試す、その時間がとても楽しかったです。困っている方の手元に届き、お役に立てれば嬉しいです。今後は、おくるみ会の方や、nenecoさんを講師に手づくりワークショップができたらいいなと考えています。また高齢の方だけでなくの妊婦さんにも喜ばれる商品を提案していきたいと考えています。

 

インタビューを終えて

昨年度のナリワイプロジェクトが終了して半年。プロジェクトが終了してからも夕子さんはそれま でと変わらず、むしろそれまで以上に試行錯誤を続けられていました。「女性の悩みに寄り添いた い」「困っている方の力になりたい」「仲間のことを応援したい」夕子さんがそう言わなくても、 夕子さんの動きの中から沢山のそういった想いが伝わってきました。今回、夕子さん、泰子さんのお話を伺う中で、「ナリワイは仲間づくり」というこ とを強く感じました。一緒に「社会の困っている」に立ち向かう仲間ができる、それはナリワイ の仲間だけではなく、自分に関わる全ての人が仲間であるかもしれない。インタビューを通して、 『月3万円ビジネス』の中で藤村先生がおっしゃっていた「すべての人とwin-winな、関係を目指す」「自分のことだけ考えない」という姿を夕子さん、泰子さんから学ばせて頂きました。(ライター:はしもと蕗)


 

湯田川温泉 ますや旅館 女将歴45年 忠鉢泰子さん 鶴岡市出身

◆マイ・フレンド問い合わせ先
湯田川温泉ますや旅館
住所:山形県鶴岡市湯田川乙63
TEL:0235-35-3211
HP:http://yu-masuya.net/


 

◆布ナプキン問い合わせ先
ルナリズム 心と体に宿る月のリズム
http://luna-rhythm.tumblr.com/


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