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 <ナリワイ女性インタビュー チャレンジ編>no.18 佐藤涼子さん 後編

今年度、鶴岡ナリワイ実践道場に参加し「宇宙に関わるナリワイ」を模索している佐藤涼子さんのナリワイインタビュー後編です。(前編はこちら

宇宙への夢と移住の選択

「JAXAは私にとって夢の場所で、管制室に入れるような立場になり、宇宙飛行士と普通に会話したり、実験してもらったりすることができる毎日に、一生ここで仕事をしたいと思っていました。でも、仕事は緊張を伴うし夜勤もある。体力面ではかなりきつく、このままでは子どもを育てられないのではと不安がありました。夫婦でどこに根をおろすかという話を結構していましたね」

そんな中、涼子さんの旦那さんが鶴岡出身だったこともあり結婚後、毎年長期で鶴岡市に里帰りしていたことが涼子さんの気持ちを変えていきます。

「旦那さんは最初、地元には帰る気はないって言っていました。でも休みのたびに帰っているし、旦那さんのお母さんは10年ぐらい一人で住んでいてそれも寂しいだろうなということが気になっていました。そのうちに、鶴岡に帰ろうかということになり、仕事を辞めることになりました」

涼子さんは、鶴岡に移住することを決めた時、「やりたいことが色々できる」ととても前向きな気持ちだったと言います。

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以前から、生まれ育った東京があまり好きではなく、農業をやっていた鹿児島の祖母への憧れがあった涼子さんは、東日本大震災の時の異常な様子の東京が忘れられないと言います。

「混乱が起こっていた時の東京にいた人達の顔が怖かったんです。怒りなのか、不安なのか、焦りなのか、とにかく異様だと感じました。仕事や経済がそんなに大事なんだろうか、大事なものってなんなのだろうか。そんなことを考えたように思います」

2016年3月に退職し、4月に鶴岡市に移住された涼子さんは、「今住んでいる場所は海や山があって、余計なものは何もなくて最高」だと言います。

鶴岡ナリワイプロジェクトとの出会い

銀座の交通会館で、庄内地方への移住説明会があって移住前に行きました。「前略、鶴岡に住みマス」という鶴岡市の移住促進サイトで鶴岡ナリワイプロジェクトを知って、移住して間もなく説明会だったので参加しました。その説明会で鶴岡での初めての友達が出来ました。東京にいた時から「宇宙」っていうとまともに聞いて貰えないだろうなと思い、あまり話をしないできたのに、ここでは堂々と宇宙の話ができて、真剣に聞いて貰えて嬉しくて参加しています。

開催した2回のイベント

とにかく一度何かやってみないと分からないと思っていて、ナリワイの方々や周りの方も「やれやれ」って言ってくれる人がいっぱいいたので、とりあえず「宇宙のイベント」を開催してみました。私はフットワークがとても軽いんだと思います。

1回目は宇宙ステーションの観測会をやって、宇宙ステーションがはっきり見えて、参加した方々もとても感動してくれました。2回目はアイシングクッキー教室をやっているan meccoの長谷川有里さんと組んで惑星アイシングクッキー作りをしたのですが、同時に行う予定だった惑星観測が曇りのためできず、やっぱり実際に、惑星や宇宙ステーションを見てもらわないと私の強みは生かせないなと感じました。

私は星座のことはあまり詳しくないので、これからは宇宙ステーションの観測会を中心に周りの人たちと一緒に空を見上げて語り合う機会作りをしていきたいと思っています。

 14218523_639215712906495_785875203_n三瀬地区café meriで行われた惑星アイシングクッキー作りのイベント

今後の展望

鶴岡なら、やってみたかった農業ができる。でも宇宙のことも何らかの形で続けたい。移住してからどうしたらそれを実現できるか考えていました。今、世界では火星への移住計画が進められていて、火星での農業も研究が進められている。それなら火星での農業を鶴岡の方々と一緒に考えていくことが出来ないかと考えるようになりました。少しずつ、火星での農業のことを鶴岡の農家さんと話し始めていて、それをどうにかして進めていきたいと思っています。火星の気温や土壌の問題があって水耕栽培をやっている人が多いのですが、私は土にこだわってやっていきたいのでもっと火星の農業のことを研究したいし、火星の農業ができる人にいつかはなりたいと思っています。

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宇宙ステーションの観測会の方は、先日、ナリワイの仲間の菅原さやかさんに繋いで貰って、子ども向け宇宙ステーションの観測会をやって、子どもの反応ってすごいと感じました。宇宙の話に子どもたちはとても興味があるし、質問も的を得ている。子どもたちに色々なイメージで宇宙が伝わるような仕掛けをしていきたいし、鶴岡の子育てに関わるような人たちとも協力していきたい。子どもも大人も宇宙を通して視野を広げてもらったら、悩みやいじめが解決していくんじゃないかと思っているので、そういう役目を担っていきたいと思っています。

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中間報告会では、涼子さんのナビゲートによる宇宙をテーマにしたスタンプラリーを行います。ぜひご参加ください。

ナリワイ Star☆Trek 〜参加型宇宙クイズ〜
https://www.facebook.com/events/1235717319796056/

14012108_628987083929358_1148339453_n子ども向け宇宙ステーション観測会の様子

ナリワイをしてみたい人へのメッセージ

ナリワイ実践道場に参加して、今まで周りの人に言ってもまともに聞いて貰えることが少なったことをしっかり聞いて貰えて、応援してくれる人がこんなにいるんだというのを感じました。応援してくれる人がいるから頑張れるのだと感じています。

鶴岡に移住して

鶴岡に移住してから毎日景色に感動しています。月山や鳥海山や海に沈む夕日。ちょっと出かけた先ではまた違う感動が待っている。地域の運動会に参加したり、フェスティバルでソーラン節を踊ったり、バレーボールのチームがあるのでそれにも参加しています。素敵な人たちばっかりで、自然に囲まれていて最高の場所に引っ越してきたと感じています。

インタビューを終えて

ずっと憧れだった宇宙ステーションに関わる仕事をしていた涼子さんが、その仕事を辞め鶴岡に移住されて約半年。大きく環境が変わる中、鶴岡での生活を楽しみ、鶴岡の方々に宇宙をもっと身近に感じてもらいたいと宇宙ステーション観測会を行い、日々この鶴岡で自分が出来ることを模索している涼子さん。そのフットワークの軽さといきなり移住した鶴岡での生活を楽しめる順応性が素晴らしいと感じました。(ライターはしもと蕗)


佐藤涼子 30歳 東京都新宿区出身

現在、鶴岡市内でご主人・ご主人のお母さんと三人暮らし
「宇宙ステーション観測会」を不定期で実施中


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