ナリワイインタビュー第18回目からは、今年(2016年度)、鶴岡ナリワイ実践道場に参加し「ナリワイづくりへのチャレンジ」を行っている方々にお話を伺っていきます。ナリワイインタビュー20回目はツボ療法・整体と麹を活用したナリワイに取り組む「momi」の相馬文(ふみ)さんにお話を伺いました。
都会と地元で様々な仕事を経験した20代
鶴岡市出身の文さんは地元鶴岡の高校卒業後、上京し、東京近郊の企業に就職しました。
「一度は東京に行ってみたかったし、地元の求人は数が少なかったので、高校に求人が来ていた塾の営業の仕事をする会社に就職しました。それから4年間、東京近郊で色々な仕事を経験しましたが、22歳の時これ以上東京にいなくていいと感じたので鶴岡に戻ってきました」
都会の満員電車や人ゴミは自分には合わない。田舎の方がいいと感じていたと文さんは振り返ります。
鶴岡に戻り、事務の仕事を始めた文さんは事務の職を幾つか転々とします。
「事務の仕事は苦ではなく割と得意だったので、仕事の契約が終わってもまた次があるという感じで、契約社員で働いていました。でもだんだん、中途でも入りやすい会社は辞めている人がいるからなのだと気づきました。そういう所は人間関係のストレスが大きかったです。毎回、次は長く働こうと思って勤め始めるのですが、続かない。契約切れるまでは頑張ろうという感じでした」
そんな時、ハローワークの職業訓練で、医療事務の資格を取得できると知った文さんは、医療事務なら、全国どこででもできるし、長く続けられるかもしれないと考え、医療事務の資格を取得し、地元羽黒町の薬局で働くことになりました。
ちょうど薬局に勤め出したタイミングで、旦那さんと結婚し双子の男の子を出産。薬局での仕事は育児休暇を取得できたため、続けることができ、今年の春まで10年間パートとして勤めていました。
「仕事がパートで1日4時間ぐらいの勤務だったのと、旦那さんの両親が子どもの面倒を見てくれていたので時間に余裕があって、図書館に通ったり、パンづくりやお菓子作りをしたり、充実した自分の趣味の時間がありました。今思えばその時間が今のナリワイに繋がっているように感じます」
変化した食べ物や体への意識
「私は元々、整体にも麹にも興味は無かったんです。インスタント食品は食べないけど、そんなにこだわりも強くない、ちょっと健康志向があるぐらいでした」 そんな文さんには数年前、食べ物や体への意識が大きく変わる出来事がありました。
「職場の人に勧められたビールの話を旦那さんにしたら『韓国産じゃないか』って言われて調べたんです。それまで韓国には韓流ドラマのようなイメージしか無かったけれど、食品が危険というような情報もあって、メディアが報道していないような情報が沢山あるって気がつきました。それまでは食べ物に対して何も思わなかったけれど、福島原発事故後の放射能汚染のこともネットで調べたら、怖くなるような情報が沢山あって、これから私や子どもたちはどうなるのだろうと不安になりました。チェルノブイリの原発事故の後、ガンが増えているということも知って、放射能や危険な物質を体に入れないことと、そういうものに負けない体づくりが大事なのだと感じたんです」
食べ物の添加物や化学調味料、洗剤、シャンプーなど身の回りのものをなるべく体に良いものにしたいと意識し始めた文さんは、マクロビオテックや自然食などを勉強し始めます。その時に、発酵食品、特に「麹」に興味を持ちました。
文さんが使用している醤油麹
「私は元々アトピーで、それはなんでなんだろうとずっと思っていたんです。色々調べてみた所、砂糖が一因だったのだと気づきました。砂糖を摂るのは止めたいけれど甘いものは食べたい。それなら甘酒はどうだろうか、体にもいいし。そんなことを考えて麹を使い始めました」
手作りのご飯づくりとクラッセでの六次産業化
添加物の入っていない調味料や地元で採れた素材を使って、毎日の食事を作り始めた相馬さんは、次第にそれが楽しくなっていったと言います。
「今まで、麻婆豆腐は専用の素が無いと作れないと思っていました。でも、一度、肉と醤油麹をつけておいて豆腐を入れて煮て作ってみたんです。肉を醤油麹に浸けておくと、栄養価や旨味がまして、消化吸収が良くなると知って、家族の健康にいいと思ってやってみました。それが美味しくて『これ、味付け醤油麹だけなんだよ』と旦那さんに自慢して。そういう手作りのこと一つ一つが、とても嬉しかったです。」
庄内浜で水揚げされた魚、近所の人や知り合いが作った野菜、そういう顔が見える食材を使いながら丁寧に料理をしていくうちに、ご飯を作ること、食べることが楽しくなっていった文さんは、ちょうど六次産業化を推進していた庄内町新産業創造館クラッセで加工品作りを始めます。
「嫁いだ旦那さんの家が兼業農家で、お米や野菜を作っていたので、自分の家のお米を使ってお菓子を作れないかなと思い、クラッセの研修を色々受けました。米粉で作るアレルギーフリーのクッキー、砂糖を使わないあずき煮、アルミニウムフリーのケーキミックス粉など色々商品化して、売れていたのですが、一人で黙々と作って原価計算して、販売してというのが大変で辞めました。一緒にやろう!という仲間を中々見つけられなかったです」と文さんは振り返ります。
(後編へ続く)
相馬 文 鶴岡市出身庄内町在住 30代
ご主人、ご主人の両親、8歳の双子の息子、4歳の娘の7人暮らし
UNBEINO(あんべいの)酒田店
http://unbeino.com/
麹を使った料理や体を整えることを提案するFBページ「Momi」
https://www.facebook.com/momikouji/?fref=ts
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