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<ナリワイ女性インタビュー チャレンジ編>no.19 菅原明香さん 後編

今年度、鶴岡ナリワイ実践道場に参加し「あかるさかおる AkarusaKaoru」のアーティスト名で活動する菅原明香さんのナリワイインタビュー後編です。(前編はこちら

出産・育児によって変化した自身の意識

退職し、娘を出産した明香さんは「子どもを産んだのは一つの転機」と振り返ります。

「出産の時に、自分が地球上に命を一つ産み落としたら、オムツなどでゴミが沢山出て地球が汚染されるのであれば生まない方がいいと思い、娘は布オムツとオムツなし育児、完全母乳で育てました。子どもの未来を考え、食事も気にするようになり、環境により配慮するようになりました。自分の身の回りの物がどこでどのようにして作られ、自分の手元に届くのか考えるようになり、誰かが苦しい想いをして作っているものではない、フェアトレードのものを使いたいと思うようになりました」と明香さん。

子どもの頃から、双子で勉強も運動もでき、良くも悪くも特別扱いされ、輪の中心にいながら孤独を感じていた明香さんは、目立ってはいけない、前に出てはいけない、みんなと同じようにしていなければと感じることが多かったと言います。特にアメリカの自由な風土を経て地元に戻った時、周りから浮いている感覚があり、必死に周りに合わせて生きる自分に息苦しさを感じていました。逆に、アメリカにいた時には外国人として、マイノリティーであることの辛さを味わったため、常に弱い立場の側に立って考える所があると明香さんは言います。フェアトレードや社会の中の不平等を無くす、環境に配慮する生き方を目指す、そんなことを意識していきたい、同じように思っている仲間と繋がりたいとさやかさんは感じています。

14875824_10210601171366954_1579058493_oさやかさんが初めて開催した個展

ナリワイプロジェクトとの出会い

明香さんは昨年、鶴岡ナリワイプロジェクトに参加していた五十嵐有紀子さんと知り合いだったため、以前からナリワイプロジェクトに興味があったと言います。

「出産後1年くらいして社会復帰を考えていた時に、何かの記事でナリワイプロジェクトを知り、調べてみると知り合いが参加していて興味を持ちました。そこで今年3月に行われたナリワイプロジェクトの成果報告会を見に行き、五十嵐有紀子さんの成果報告を聞いて、感動したんです。私は今まで労働者として搾取されてきたのではないかと感じることが多かったので、自分の人生の舵取りは自分でしたい、出産・育児のために仕事を辞めたのだから子育てを優先しながら、自分らしく仕事をしたいと考えていました。ナリワイに参加したら出来るんじゃないか。そんな風に思いました」と明香さんは言います。

13418753_1640218899638630_8979918867089253728_n挑戦中のナリワイ

得意なことである英語と好きなことである絵の二つのナリワイに挑戦している明香さん。

「絵の方は、昨年度・今年度のナリワイ参加者数名で、病気に入院・通院している方に癒しを提供するホスピタルアートのプロジェクトを開始しました。これまでも仕事で似顔絵の依頼を受けたりしていたのですが、知らない人の写真が送られてきてその人の絵を描くということが多く、ただ絵を描くことをこなすという感覚でした。チラシのデザインなどの仕事を頂くことも多かったのですが、私としては絵を描く仕事をしていきたいし、顔の見える関係性の中でお役に立てるようなナリワイをしていきたいと思っています。

英語の方は、色々お話が来ているのでそれに挑戦したいと思っています。私は外国の方と接したいという気持ちが強いですし、通訳案内士の資格も持っているので、通訳として活動していきたいと考えています。また、私が娘をバイリンガルに育てつつあるので、その方法を興味のある方にお伝えしたいと思っています。子どもに英語を教えて欲しいと言われることが多いのですが「教室」という形で開きたいわけではないので、バイリンガル子育て入門のワークショップなどをしながら子どもと英語で遊びつつ、子育て中の方と相談ごとなど話し合える場作りをしていきたいと考えています」

14212549_1693248004335719_3506589551223246089_n英語とお絵描きカフェを開催した中間発表会のワークショップ 

ナリワイプロジェクトに参加して

日本の田舎では、「出る杭にならない、みんな横並び」というのが美徳とされるけれど、このプロジェクトに参加している方々は、いい意味でそこからはみ出ていて、それが良い所だと感じました。結婚して、子どもが出来てから講座を受けるためというだけではなかなか家の外に出られなかったのですが、ナリワイプロジェクトに参加して、「ナリワイだから」ということで出てこられるようになって少し子育てにも余裕を持てるようになったと思います。

今後の展望

勤めることも嫌いではないけれど、誰かの下で働くのであればお互いに気持ちいい関係性の中で働きたい、自分を活かせる・活かされる場所で働きたいと考えています。月3万円ビジネスは家族に説明するのは難しく「月3万円稼いでどうするの?」と問われることもあります。古くて新しいナリワイ的な生き方は、どこかに勤めていくようなシステムが当たり前だと思っている人には受け入れがたいのだと思います。「目立たないように、他の人と違う変な人にならないように、そうやってみんなの輪の中に入れている時はいいけれど、一人外れた時にはこの地域で生きていけない」そんな風に思っていましたが、ナリワイと関わって、自分がアクションを起こせば協力してくれたり応援してくれる人がいる、ということに気がつきました。今後は今ある英語や絵に関わるビジネスの種を発展させて自分の人生を自分で良いものに設計していきたいと思っています。

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ナリワイをしてみたい人へのメッセージ

地元にいるとやりたいことがある人が結構いるけれど、なかなか踏み出さない。こういう風にしたら出来そうと提案しても、出来ない理由を出して、出来ないことに落ち着く。そういうことが多くてもったいないと感じています。ナリワイプロジェクトのメンバーは「いつまでにやる」と決めると実行する、私が何かやろうとした時は、色んな人が動いてくれたり、友達も助けてくれました。やってみたいと思っていることがあれば、勇気を出して一歩踏み出し、目立ってもいいのだと思います。

インタビューを終えて

さやかさんにお話を伺う中で「なるべく地域で目立たないようにしてきたけれど、ナリワイプロジェクトに参加して、一歩踏み出して目立ってみてもいいかなと思えた」とおっしゃっていたのが印象的でした。

地域に生きるそれぞれの人が「得意」を存分に生かし助け合うことが出来れば、楽しくて住みやすい地域になっていくのではないかと思います。さやかさんのような高いスキルを持ち、地域に関わってきた方が、自分の得意を生かしてビジネスをしていくことが、周りで「一歩踏み出せないけれど挑戦したいことがある方」の力になっていくのではないかと感じています。(ライター:はしもと蕗)


菅原明香 30代 鶴岡市出身
現在、三川町で旦那さんと3歳の娘さんの三人暮らし

アーティスト名「あかるさかおる Akarusa Kaoru」
FBページ https://www.facebook.com/akarusa.kaoru/?fref=ts

 


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