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<鶴岡ナリワイインタビュー>no.27 菊池淳子さん後編

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子どもの頃、親戚に「はっきりものをいう子だね」と言われたことが今でも印象に残っている淳子さん。大人になっても、考えてることを口にしたら、また変わり者だと言われるのかな、と思いながら過ごしていました。ナリワイづくりワークショップに参加し、他の参加者と話をしてみて「変わり者と言われるような人は私だけじゃなかった!よかった~。」とまず思ったそうです。
前編はこちら

「私自身、やりたいなと思ったら口に出しちゃうし、逆にやりたくないことは口に出さない。それに、不言実行はできないから、言ったら最後、やらないと気持ち悪い性格なんです。」

干し柿部の立ち上げ

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ナリワイ仲間になった淳子さんは、まず干し柿部を立ち上げました。淳子さんは羽黒町在住で、周辺は庄内柿の一大産地。生産量も多い一方で、果実を収穫しないでそのままになっていたり、収穫しても畑に実を積み上げている状態になっている柿の木もたくさんあります。そういった、利用されないままになっている柿を、干し柿にする仕組みづくりができないかを模索しました。

そのやり方と言うのが、農家から収穫したけれど行先のない柿を無償で引き受け、淳子さんのチームで干し柿にし、完成品の何割かを現物で農家に返します。残りの分を、販売もしくは個人消費にして、作業にかかる費用をまかなうという仕組みです。何度か干し柿部のメンバーや共感してくれた仲間で集まり、干し柿制作の会を開催しました。お昼ご飯と干し柿づくりの会や、お茶会と干し柿づくりなど様々な工夫をしながら自宅を作業場にして干し柿を作りました。
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 ところが、淳子さんは100パーセント以上の力を出してがんばっていたので、途中何度かくじけそうになってしまいます。「今思うと、ちょっと全力投球過ぎて毎日やり過ぎていたのかも。気がつけば、家族にも楽しくて地域を良くしていけたらという思いがあったはずなのに、イベントやワークショップを企画したり準備や計画に時間を取られて、息子とお父さんの二人で休日にお出かけに行ってしまい、家族との触れ合いの時間が減るなど、徐々に自分の中で矛盾が生まれていました。」10680030_1503637229922854_5391577738825105494_o
干し柿部は、1年間トライしてみましたが、なかなか暮らしと干し柿づくりを両立できませんでした。イベントを企画して終わったら体調を崩すことも何度かありました。ふと、そこまで誰も求めていないかもしれない、こんなに頑張らなくてもだれも怒らない、と気が付きました。そして、淳子さんは、干し柿づくりグループはもう少しゆっくり考えようと、一休みさせることにしました。1558513_663189490465273_1878185806076616084_n

ものづくりを続けたい!新しいナリワイへ

同時進行で、ものづくりの淳子さんも動いていました。「器用万歳」という屋号で、消しゴムはんこや、手芸などを受注生産するナリワイをスタートさせます。当時のナリワイ仲間に手仕事やものづくりのメンバーが多かったこともあり、ワークショップのやり方や、情報交換もでき、やりたい気持ちとできるスキルが大きくなっていきました。

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消しゴムはんこワークショップ

「私はパソコン作業や機械がとても苦手で、フェイスブックページを立ち上げるのも一苦労でした。でも、フェイスブックをはじめたことで、地域をよくしたいと思ってる人がいっぱいいるんだな~と言うことがわかって嬉しかったです。こんな私でもいいんだ、と思うことができました。ナリワイの仲間がいたから聞けることもたくさんありました。私は社会性のないタイプだから、小さな限られた人の中で生きてきました。干し柿部を立ち上げて私はリーダーには向いて無いかもってこともわかったし。」と笑います。

道具・資金・場所を最小限でやるというのが好きなのかもしれない、と分析する淳子さん。今は、小学生の息子さんと過ごすことに力を入れたい時期だと言います。100%の力は子どものために出したいし、あれもこれもやりたい気持ちはあったけれど、ナリワイに参加して何を大事にしたいのか気付くことができました。現在、月1回、手芸サークルで講師をしています。「私は羽黒町の人が大好きで、一緒に地域で楽しく過ごすことができたらと思っています。それのお手伝いが少しでもできたら。」にこにこしながら子育てをして、少しの隙間で自分のやりたいことをして、お金に結び付けられたら増々イキイキと上機嫌な子育てができるかもしれない、楽しく暮らすことにつとめていたい、とナリワイづくりで奮闘していた時よりもふわっと余裕のある淳子さんがそこにいました。

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息子さんが何かしていると思ってよく見たら、刺繍をしていたそう

「現代社会は足し算の世界。引き算にして考えて行った方が、もしかしたら幸せになれるかもしれない。ナリワイの講座に参加したのは、やってみたいことをとことんできて、必要な時期でした。燃え尽きるほど頑張るのはなかなか一人ではできないから。自分が全部やらなくても、自分の強みを5つくらいわかっていればよくて、足りないものは誰かに補ってもらえばいい。自分の中に弱みがあると思っていたけど、人と交わることでしか自分を知ることはできないんだな、と気が付きました。」ものづくりは、一生続けていくと思う、と言う淳子さん。何かを作る技術は、自分だけで独占しては文化とは言えないし、作り手は少なくなる一方です。つくる事を人に伝えることで、広がって、文化になっていくじゃないかな、と淳子さんは考えています。

漆塗りの師匠に「一定の期間だけ技術を学んでそれぞれの場所へ戻っていくのを、技術が土地に定着しないと言う人もいるけれど、技術が広まった、残った、と考えることもできる。」と言われたことがあるそうです。漆塗りの師匠のように、心を広く、仲間とゆるやかに、でもきちんと技術をつないでいく、淳子さんはそんなお母さんにこれからなっていくのではないかな、と感じます。文化は暮らしの中で作っていくんだ、と気が付かされました。

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最近では旦那さんも畑仕事を一緒にするようになった

ナリワイをはじめたころは、淳子さんが働くのを反対していたという旦那さん。最近は、応援してくれるようになったそうです。「多分、私の顔つきが変わってきたんだと思う。苦しい顔が、楽しそうに仕事してる顔になったのかな。」淳子さんらしいナリワイづくりがだんだん形になってきたのかもしれません。


菊池淳子さん
酒田市生まれ・鶴岡在住 3人暮らし
工房 器用万歳
https://www.facebook.com/kiyoubannzai

(文:稲田瑛乃 写真:稲田瑛乃・本人提供)


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