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<ナリワイインタビュー チャレンジ編>no.22 野木桃子さん 前編

ナリワイインタビュー第18回目からは、今年(2016年度)、鶴岡ナリワイ実践道場に参加し「ナリワイづくりへのチャレンジ」を行っている方々にお話を伺っていきます。

ナリワイインタビュー22回目は、管理栄養士の資格を持ち、山形県西村山郡大江町で地域おこし協力隊として活動している野木桃子さんにお話を伺いました。

中学生の時の体験から栄養士の道へ

福島県伊達市(旧保原町)出身の桃子さんは、福島県の高校を卒業後、栄養士を目指し、山形大学地域教育文化学部に進学しました。中学生の時の体験から「日々の食事の重要性」を感じていたという桃子さんに、当時のことを伺いました。

「中学生の時の、二つの出来事がきっかけで栄養学に興味を持ちました。一つは、祖父が『糖尿病性腎症』という病気が原因で亡くなり、糖尿病が生活習慣病で、日々の食生活の結果、起こる病気なのだと知ったこと。もう一つは、長距離走の大会に出場した際、少しでも体を軽くしたら早く走れるんじゃないかと思い、サラダしか食べずに挑んだ結果、成績が本当に悪くて、気づいたら貧血にもなってしまい、私は栄養のこと何も分かっていなかったのだと気づいたこと。中学生の時にあったこの二つの出来事から、栄養学に興味を持ちました」

この二つの経験から「食事は人の体を良くもするし、悪くもする」そんなことを感じた桃子さんは、自宅から一番近い国公立大学で栄養学が学べる山形大学に進学し、病院などで患者さんに対して、食事のアドバイスができる管理栄養士を目指し、栄養学の勉強に打ち込みました。

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山形大学、学生時代の
桃子さん

栄養学の研究に打ち込んだ学生時代

「大学では腎臓と栄養に関する研究をしていました。糖尿病が悪化すると様々な合併症を発症する場合が多く、亡くなった祖父の腎症もその一つでした。腎臓の機能が低下すると、尿を排出するのが困難になってしまい、重度の腎症になると人工透析が必要になります。人工透析になると、1日に摂取できる水分量や栄養素が制限されてしまうため、「腎臓病食」という治療食を食べることになるのですが、その「腎臓病食」は治療食の中でも一番おいしくない食事と言われていて、『この病気になってしまったらこういう食事しか食べられなくなるのか』と病気の恐ろしさを痛感しました。学生時代は、研究室、医学部の実験棟、病院を行き来して、実験データや統計データを眺める毎日でしたが、だんだん『栄養指導』という言葉があまり好きではないと感じるようになりました。データに基づく指導ではなく、患者さんと一緒に食事を楽しんで良くしていく方法を考えたかったんです。」

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「美味しくご飯を食べてもらって、楽しく生きてもらうお手伝いがしたい」という気持ちが自身の根底にあると気づいた桃子さんは、病院で栄養士として働くのは、自分の本当にしたいことなのか疑問を感じ、他に向いている仕事があるのかもしれないと就職活動を始めます。

大学進学で一旦福島の実家を離れたものの、また地元福島に戻りたいと考えていた桃子さんは、そこで特別養護老人ホームを運営する企業と出会い、就職します。

「就職説明会に行って、老人ホームでは食事がとても大切にされていると感じました。出来るだけ、老人ホームに来る前の環境に近い形でケアできるように、食事は委託ではなく老人ホームのスタッフが作っていました。ご飯と味噌汁はリビングで作って、できたての匂いを感じてもらったり。個々の方々をすごく尊重していて。私もご飯時には利用者さんを回ってお話ししたり、施設に居ながら、全国を旅した気持ちになれるように各地の郷土料理を調べて提供したり、老人ホームでの栄養士の仕事は、楽しくて私には合っていたと思います」と振り返る桃子さん。

悩む渦中での大江町との出会い

そんな時、桃子さんは大学時代の知り合いで、大江町で林業をやっている庄司樹さんから、「森林インストラクター」のイベントに誘われ参加します。

「老人ホームでおばあちゃんの知恵のような話を聞くのと、自然体験やアウトドアが好きだったので、自分が歳をとったらおばあちゃんの知恵を伝える林間学校みたいなことをやってみたいなと思っていました。今すぐやりたいわけではないけれど、情報収集しておこう。そんな気持ちで参加しました」

ところがこのイベント後、庄司さんに「大江町地域おこし協力隊」を勧められたことから桃子さんは迷い出します。

12111960_881892815179422_2778579731105198676_n庄司さんと桃子さん(活動地域の施設「やまさぁーべ」にて)

「特別養護老人ホームは認知症の方がほとんどで、お話しするのが難しかったりするのですが、毎日お話しを聞いているとだんだん分かってきたりするんです。それをメモしていくと私の中に情報がたまっていく。でもそうやって仲良くなった人達はどんどん亡くなっていく。そのうちに疑問が湧いてきたんです。この方々は食事の面で満足して亡くなったのかなと。平成生まれの私は、大正や昭和初期に生まれた方々が何を食べてきたのか分からない。洋食やケア食は作れるけれど分かっていないことが多すぎる。お年寄りが一人亡くなると図書館が一つなくなるように感じて、90年ぐらい生きていた方の人生、その方の知識がただなくなっていくのは悲しかった。どうにかならないだろうかと考えていました」

「老人ホームでの栄養士の仕事は好きで、辞めるつもりなど毛頭ありませんでした。『地域おこし協力隊』に関しても農作業を手伝う人ぐらいにしか思っていなかった。けれど庄司さんに勧められて調べてみると大江町の地域おこし協力隊は、山菜やきのこ、四季折々の地域の食材を使って町をPRすると書いてあり、庄司さん自身が行っていた地域の木材を生活に生かすSo-tennenという活動にも元々興味があったので、身近にある森の恵みで地域おこしという発想はとても魅力的で、地域の方々から学べることも多いんじゃないか。外に出て学んでくるなら、若い今のうちかもしれないと思い切って応募しました」

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仲間と
山に関わる活動を行う桃子さん(林業女子会)

勤務先の老人ホームからも「挑戦したいことができたなら応援する」と背中を押され、見事大江町の地域おこし協力隊に就任した桃子さん。同時に、「管理栄養士」の国家試験にも合格し、晴れて2016年6月大江町に移住しました。(後編に続く


野木桃子さん 20代 福島県伊達市(旧保原町)出身 山形県大江町で一人暮らし

So-tennen
大江町七軒地区を中心に活動する、自然と人が寄り添う社会づくりをお手伝いするグループ
HP:https://so-tennen.jimdo.com
FB:https://www.facebook.com/So-tennen-446686475366727/

林業女子会@山形
HP:https://fg-ymgt.jimdo.com
FB:https://www.facebook.com/林業女子会山形-525001070982456/


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